‘ナイーブ’ vs ‘naive’

最近、iPadのOSがアップデートされ、英単語上でタップすると辞書が使えるようになりました。気軽に辞書が使えてこれはいいなと思っていました。

先日、GoodReader上で読書している時に、”naive belief”というくだりで何気なく”naive”という単語の辞書を引いたところ、

飾り気がなく、素直であるさま。また、純粋で傷つきやすいさま。

とありました。この記載に違和感があったので調べて見ました。というのも、中学生の頃から日本語の「ナイーブ」と”naive”は違うと覚えていたのですが、iPadでは日本語的な「ナイーブ」の意味が出てきたからです。そもそも “naive belief”で上記の意味は通りません。

英英辞典系ではどう記述しているか

Longman dictionary of contemporary English によると

not having much experience of how complicated life is, so that you trust people too much and believe that good things will always happen [→ innocent]:

と、褒め言葉ではないようです。

WordNetによれば

adj

1: marked by or showing unaffected simplicity and lack of guile or worldly experience; “a teenager’s naive ignorance of life”; “the naive assumption that things can only get better”; “this naive simple creature with wide friendly eyes so eager to believe appearances” [syn: {naif}] [ant: {sophisticated}]

2: lacking experience of life; “a callow youth of seventeen” [syn: {callow}, {inexperienced}, {unsophisticated}]

3: lacking sophistication [syn: {unsophisticated}]

とのことです。1の意味は中立的にも取れますが、例文のニュアンスは良い意味ではないように思われます。

英和辞典系ではどう記述しているか

一方で、ジーニアス英和辞典では

1 [けなして] 単純な,世間知らずの,だまされやすい‖It’s ~ of you [You are ~] to believe that. そんなことを信じるなんて君は単純 だね. 2 [ほめて] 無邪気な,純真な‖a ~ girl うぶな女の子. 3 [けなして] 幼稚な,しろうとの‖a ~ argument 幼稚な議論.

とあります。

さらに研究者リーダーズでは

1 a 純真な, 天真爛漫な, うぶな (artless). b 愚直な, だまされやすい.

2 未経験の; 単純素朴な; 〈画家など〉正規の訓練をうけていない, 素朴な; 特定の実験[投薬]をうけたことがない; 特定の麻薬をやったこ とがない.

とありました。

ジーニアスでは「ほめて」とありますが、「うぶな女の子」は褒め言葉なのか疑問なところもあります。

まとめ

以上のように、英語のnaiveは良い意味では使われないようです。冒頭のiPadの辞書によるnaiveの意味は、むしろ日本語の用法に近いニュアンスを感じます。 Wikipediaによると

英語の naiveは良い意味で用いられることはまれで、フランス語の悪い意味の方の語義で用いられる。

とのことで、日本語とは違う意味で取られることに注意する方が良さそうです。ということで、”naive belief”は「(愚かしい)単純な信条」くらいのニュアンスでしょう。

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