数学の勉強の仕方

2017年9月18日

はじめに

まず大前提として、「勉強の仕方を身に付けるのも、勉強」です。とは言え、私の例を一つ参考として述べてみます。 ここで述べる勉強の仕方は、主に物理系の勉強向けです。つまり数学を使うことをメインとする人向けで、数学そのものを専門とする人向けではありません。ちなみに、私は主に学部生の頃に数学を集中的に勉強していました。

大学以降の数学・物理は高校以前とは違う

大学に入ると解析学と線形代数を教わりますが、高校とはだいぶ違います。私の場合も正直退屈でした。 かなり厳密な論法で高校の内容をおさらいする時は、どこが違うのか良く分かりませんでした。それでも、テイラー展開、 複素解析など新しい話題もあります。

私の場合、授業の教科書はあまり使わず、自分で気に入った本を探すことが多かったです。その方が楽しかったから、というのが理由です。皆さんも、自分にあった本を探してみると良いと思います。同じトピックでも、著者によって書き方が違います。著者の専門性や指向、あと言語能力も本に表れます。もしも内容が分かりにくい場合や面白くない場合は、もしかしたら本に問題があるのかも知れませんよ。

テイラー展開は東京図書の参考書や演習書で勉強していました。残念ながら今は手元にありません。複素解析は、カプラン著の「工科のための複素解析入門」 、チャーチル・ブラウン著「複素関数入門」 で独習していました。

解析・ベクトル解析など

私は電気電子工学専攻でしたので、電気数学の授業を受けていました。しかし、あまり体系的に講義をされず、また教える 側もさほど数学が得意とも思えませんでした(笑)。私自身が数学に興味があったので、授業とは別に自然と自分で勉強するようになりました。

電磁気学ではベクトル解析が必要になります。新しく外積という概念も現れます。私はアルフケンの物理基礎数学シリーズを愛用していました。これは「ベクトル・テンソルと行列」、「関数論」、「特殊関数と積分方程式」の3巻から構成され ていました。私はこれらを順番に読むことにして、勉強していきました。このシリーズは演習問題があり、私も可能な限り これらの演習問題を解いていました。(今は、「ベクトル・テンソルと行列」「フーリエ変換と変分法」「特殊関数」のタイトルで入手できるようです。)

ベクトル解析はとても役立ちました。特に直交座標系、円柱座標系、極座標系の往き来はこの時期にマスターできました。 ただ今思うと、テンソル解析はもっと勉強すべき内容でした。

特殊関数に関しては、ちょうど量子力学で遭遇する特殊関数の話題があったので、量子力学の勉強をやり直しながら、数学の本と往き来していました。

アルフケンの本の良いところは、物理の具体的なトピックと絡めて説明されている点です。物理学を独習する上で、とても 役立ちました。ベクトル解析にも言えますが、実際の問題を解いてみることが数学のマスターにはとても大事です。

解析学についてはラング著「解析入門」 も独習向けのよい本だと思います。大学教養の授業の教科書よりも、こちらをメインで勉強する方が良かったと、今になって思います。

線形代数

線型代数の授業はとても退屈でした。具体例がなかったせいだと思います。

自分で勉強していたのはストラング著「線形代数とその応用」 です。ガウスの消去法から説明が始まる実用的な内容です。この本は最小二乗法、微分方程式、行列の数値計算など、PCを使うようになって後々にお世話になる話題が網羅されていて、正直に言うと、電気系学部の2-3年生くらいでは消化しきれない内容です。今思うと、勉強し直しをするべきでした。

数学の歴史

あまり言われませんが、折りに触れて数学の歴史の勉強もお薦めします。数学の各トピックの変遷を理解することは、数学 を体系的に理解する上でも役立ちます。

直球的には、小堀憲著「物語数学史」 などが良いでしょう。ベックマン著「πの歴史」 は、ちくま文庫で入手しやすくなっ ています。このブログでも紹介しました森毅著「魔術から数学へ」 も好著と思います。少し変わったところではサイモン・ シン著「フェルマーの最終定理 」 、レナード・ムロディナウ「ユークリッドの窓: 平行線から超空間にいたる幾何学の物語」 も、少し毛色の違う立場から数学の大き な流れを概観できる興味深い内容です。

最後に

就職してしまうと、大抵の場合、数学のような基礎的な勉強はなかなか出来ません。学生のうちに、しっかり身につけてお くことをお奨めします。数学が分かると、どの分野でも通用する素地が形成されます。特に、情報理論・制御理論では線 形代数を駆使した理論を使う場合があります。そんな領域までも拡張できるように、数学の基礎を固めておきましょう。

上記の本のリストは、研究者であった私の父親からかなり影響を受けています。そういう意味で私は大変幸運であったと思います。

蛇足ながら、私の学部生の頃は日曜日に(当時は土曜日も午前中に授業がありました)学校の講義室に電気スタンドを持って潜り込み、朝から夕方5時くらいまで集中して勉強できたのが良い思い出です。

数学

Posted by Gordius